SGH 【2016インタビューシリーズ3】見島先生(国語科)・間島先生(理科)

『インタビューシリーズ』はSGHガイドブックチーム(詳細はこちら)が
2016年12月にインタビューした内容を記事にしたものです。

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「関西学院千里国際(SIS)のSGHって何だろう?」
この問いに答えるために、結成したSGHガイドブックチーム。
第3回目は国語科の見島先生、理科の間島先生からお話を聞くことにしました。

先生が授業で大切にしてること
こうき:僕は先生のことをSISという色んな国から来た生徒達がいる所、いわば世界の縮小図でのグローバルリーダーだと捉えています。そして、グローバルラーナーとも言えるSIS生に授業で何を大切にして教えていますか?


見島先生:じゃあ私から。授業で大切にしてるのは個人の確立です。どういうことかというと、そもそも言語がないとものを考えられないし、考えたものを発信するのも言葉です。つまり、言語が考える基礎になり、表現のツールにもなるということ。なので、まずはしっかりした言語力を身につけて、物事を考える。そういう意味で言語は人が人であるために欠くことができない。って言うとすごく話が大きくなってしまうんですけど、そういう教科です(笑)


実験方法を優しく教えている間島先生
こうき:間島先生はなんですかね?授業で大切にしてること。

間島先生:理科の1番の醍醐味であり理科で目指しているのは、まだ世界で誰も発見した事のないものに対して自分がそれに立ち向かう研究です。それはたぶん日本にいようが、どこにいようが全世界共通です。そして、そのためには先人たちが築いてきた法則とかの知恵がある程度必要。法則とかを覚えるのは大変だけどね。で、生徒にはクリエイティブなことにチャレンジできる機会をいっぱいさせてあげないとそういう未知への挑戦に繋がらないと思うので、授業ではそういったことを重視してるし、みんなによくそう話してます。


言語が違うと思考が違う!?
見島先生:それで言うと、最近よく科学の分野で日本人がノーベル賞を受賞するじゃないですか。みんなノーベル賞受賞者は国際的な教育を受けてるって思いがちですけど、必ずしもそうではないらしいんです。で、『日本語で科学する』っていう面白い本があって、覚えてます?間島先生。


授業中の見島先生

間島先生:あーはい。めっちゃ面白かったから覚えてますよ。

見島先生:要は言語が違うという事は単に言語の違いではなくて、そもそもの考え方の違いに繋がってくるということで、日本語での思考と英語での思考では見えてくるものが違うということなんです。これがノーベル賞を量産している1つの理由ではないかと言われたりしてます。


間島先生:僕その話聞いてから生徒に聞くようになりました。考えてる時どっちで考えてる?って。そしたら帰国してすぐの子は英語だとか。


こうき:じゃあ、多くの国は一生懸命英語を習って英語の本とかを読んでるけど、母国語に訳された本とかの方がいいのかも。

効率と英語はそこまで大事じゃない!?
こうき:英語での思考からは生まれないであろう発想が日本語での思考から生まれるかもしれないということか。英語に統一するのも考えものだな。でも英語での方が効率が良さそう。


見島先生:いま効率って言ってくれたけど、私はそれが気に食わなくてね(怒)効率が良くないところに面白いものがあって、効率が良い勉強の仕方やアプローチなんかつまらないと思います。あと、英語なんてね、そんなに大事じゃないです(笑)喋れるに越したことはないんでしょうけど、英語喋れるからってグローバル人材ではないですよね。


実験の実演をしている間島先生
間島先生:言語より中身が大事だから学会とかでみんながネイティヴの先生みたいな発音で英語を話しているわけではないみたい。

ふみか:英語は一つのツールだと思います。


見島先生:大事なのは何を伝えるかですもんね。あと、英語を極めるのならいいけど、母国語をおざなりにしてどちらの言語も中途半端になってしまうと物事を考える深さはそのぶん浅くなります。


津高先生:文科省のリーダー的な方とかは、英語英語と言うことは違うんだよと言っていて、ただ、日本のいくつかのSGH指定校は英語でやらなければSGHではないと思っています。

インターナショナル?グローバル? 何が違うんだっけ?
間島先生:英語が必要なのはインターナショナルに置いてであって、グローバルにおいてではないですよね。


津高先生:そうですね。


間島先生:グローバルは世界的で、インターナショナルは国と国の間の事で、この2つの言葉は違う意味を持つのに多くの人は勘違いしてますよね。だから、相手の言葉や文化を理解しようするのはグローバルじゃなくてインターナショナル。グローバルとはそれをひっくるめたもの。ちなみに、さっき話した未知への挑戦はたぶん全世界共通だからグローバルですね。


解説中の見島先生
こうき:グローバルはインターナショナルをひっくるめてる言葉なのか。けど、境目が曖昧かも。

言葉への洞察
見島先生:「グローバル」と「インターナショナル」との違いに関連して少し横道にそれますが、カタカナ言葉にはご用心です。

というのも、外来語は意味がぼやけて、問題の本質を突き詰められないことがあるからです。あと、政府なんかが意図的に外来語とか略字を使ってターゲットをぼかしてしくる時もあるので、カタカナが多用されている時には騙されてないかとか、それを本当に分かって使ってるのかって考える視点は大切ですね。国語って地味な科目なんですけど、最終的にいろんな事に繋がってくるし、いろんな問題って実は言葉だったりするように思う。


ふみか:なるほど。


見島先生:まぁ人によって言葉の解釈が違うのは言葉の限界であり、宿命なんですけど、母国語でさえそうなんだから、外来語や最近出てきた言葉だと更に意味がぼやけますから注意した方がいい。

ふみか:気づかん間に外来語とかに影響されてるんですね。

生徒へのアドバイス 知識の遊び
こうき:生徒へのアドバイスをお願いします!


間島先生:うーん、みんな答えを求めてて、実験も成功しなきゃダメって思ってるけど、そんなことはあんまり大事じゃないのよ(笑)テーマを絞ってリサーチクエスチョンを作って計画立てたのにうまくいかないことはある。そこから改善しようと色んなことを突き詰めてほしい。ごちゃごちゃと面倒臭いこともあるだろうけど、うまくいかないものにアプローチをかける知識の遊びをしてほしい

こうき:知識の遊びか。


間島先生:シンプルに言ったら、A評価を取りたいなら、A評価を取るためにはどうしたらいい?って考えて、自分でいろいろ工夫して、結果でるかな?なんて試しながら頑張るみたいなことをしてほしい。


見島先生:結果を綺麗に出そうとあんまりせずに、好奇心をとことん追求してほしいね。

生徒へのアドバイス 「努力は裏切るけど無駄にはならない」
見島先生: けど、A評価目指して頑張ったからといってA評価取れるとは限らない。「頑張ったのに」という言葉を、ここ五、六年、生徒からよく聞くんですけど、頑張ったのにできないのは当たり前だからね(笑)人生では頑張ってもできないことのほうが多いので、頑張ってもできないかもしれんけど頑張るって面白いかもしれんなと思う方がはるかに大事だと思います。フィギュアスケーターの羽生結弦くんがよく言っていてね。「努力は裏切るけど無駄にはならない」ほら、効率と逆なの(笑)


間島先生:すごいな、あの年齢の子でよくそんな言葉出てくるな。


見島先生:受験でもなんでも、頑張れば必ず成功するなら誰でも頑張れるよね。結果が大事じゃないって言ってるんじゃないんですけど、必ずしも思った結果にならないことはなんぼでもある。けど、それは無駄にはならないという羽生くんの言葉で締めます。ずるいな私(笑)

こうき:さすがです。有難うございました。