SGH 【2016インタビューシリーズ2】志垣先生(HFL)・山田先生(数学科)

『インタビューシリーズ』はSGHガイドブックチーム(詳細はこちら)が
2016年12月にインタビューした内容を記事にしたものです。

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「関西学院千里国際(SIS)のSGHって何だろう?」
この問いに答えるために、結成したSGHガイドブックチーム。
第2回目はHFL科の志垣先生、数学科の山田先生からお話を聞くことにしました。

先生は普段どんな想いを大切にしながら授業しているの?

ふみか:SISは開校以来グローバルリーダーを育成する教育を行っていますが、先生達はそのような人材を育てるにあたってどういう事を意識しながら授業を行っていますか?


志垣先生:生活科学はその分野で進んでいく子はあまりいないので、便利な日本ゃなくて色んな場所に出ても、自分で生活ができるようにさせたいと思っています。自分である程度生活できないと、叶えたい夢がかなえられなくなるかなぁと思うので。最先端では応援できないけど、その力を出す支えというか、足元を支えてあげられたらなっとは思ってます。


ふみか:じゃあ数学の方はどうでしょうか?


山田先生思考力を鍛えるっていうことに重きを置いてやってきた歴史があるのかな。例えば開校して7,8年後から生徒全員に持たせてたグラフ電卓。日本の数学の教科書の問題とはちょっと違った、手計算では難しい問題
グラフ電卓で解かせるので思考力が鍛えられます。あとは生徒の解答を大事にする・引き出すというか、考えさせる時間をできるだけ作るようにしてますね。

写真:生徒が解答を発表している様子
ふみか:へえー。じゃあ生徒から答えを引出すためには具体的にどうやって?


山田先生:今話題のアクティブラーニングで、その種をまいて生徒たちに考えさせる。そういう所に主眼を置いてるかな。だから生徒達に解答を発表してもらったりしてる。


志垣先生数学の答えっていつも一個だけどそれにたどり着く道筋がいっぱいあるからすごい柔軟な思考に繋がるよね。




数学を勉強すると身に付く力とは?

山田先生:ほんとはね、演習的な授業があったらすごく数学が楽しいんだけど。で去年(2016年)、生徒数・開講クラスが増えて演習をいくつか閉じたんだ。それがすごい僕としては悔しい。


津高先生:やっぱり演習に数学の面白さが?

山田先生:やっぱりそうでしょう。教科書の内容をある程度理解することは大事だけど、やっぱり学んだ知識を使っていくつかの単元の融合問題を考えていくっていうのはやっぱり面白いし、新しい発見をするってなかなかレベルが高いことで。

ふみか:その演習は普通の授業と何が違うんですか?

山田先生:問題を解く。みんなで考える問題演習。例えば数1と数Aを取り終わったら、数1と数Aの自分が学んだ内容を使うような問題がある。与えられた知識を使い、どうやってその答えまでたどり着くか、解答のプロセスをしっかり訓練する。それって別の場面でも絶対使えると思うんだよね。例えばSGHでやってる論文。

ふみか:あぁー確かに。

山田先生:数学を勉強したっていうそのことが自分の言いたい結論を持っていくためには、どんなことを調べて、誰にインタビューして、それで集まったインタビューの内容から何が必要で、次何しないといけないかっていうことを考える事に数学は繋がってるんじゃないかと僕は思うんだよね。

ふみか:なるほどぉ。

山田先生:だから数学を勉強するってことはとっても論理的な思考力が鍛えられて、とっても人と話すときに有効だと思うんだよね。数学そのものは使わないけど、数学を使って考えてきた思考っていうのが他の場面に応用できる。

志垣先生:そう、道筋を考えるっていうのがね。

ふみか:私もリサーチ&フィールドワークを取ってた時にすごい数学の必要性を感じました。情報を分析する時も文字だけ考えるんじゃなくて、図にした方が頭の中で整理しやすかったし。


本当は言ったらダメだけど、データのごまかし方教えます(笑)
写真:授業中も笑いが絶えない山田先生
山田先生:言っちゃいかんと思うんだけど、データ分析でアンケートを作ったけど、それが自分の思うような結果が出なかったって場合もあるじゃん。でも見せ方でごまかすことが出来るわけ。


志垣先生:はははっ(笑)

山田先生:例えば一つの同じデータでも円グラフにして%で見せる場合と、積み上げ棒グラフにして数字で見せる場合で全然見た目・印象が違うからね。

ふみか:確かに!

山田先生:同じデータでもどんな風に相手に見せるかによって与える印象は違う。説得力持って話せたり、論文書けたりできるって意味では数学はとっても良いと思うから、履修した方が良いよ(笑)。
論文は感情だけ述べる感想文とは違うしね。

志垣先生:感情だけだと「主観やろー」っで終わっちゃう(笑)

山田先生:そうそう、そこでやっぱりちゃん裏付けのデータがあると人は一発で納得するので。


SISの授業や課題は大学での学びにも繋がる!
志垣先生:でも私達ってそういうの全然勉強してきてないからぁ、

山田先生:でもね、僕はここの卒業生でしょ、だから僕は比較文化とかで資料集めて分析して発表するっていうのをやってたので、大学生になった時にやっぱり楽やったね。

志垣先生:なんとなくアイデアがあるって感じやんねー感覚的に。

山田先生:そうそうそう、それはあったかも。

ふみか:じゃあSISの授業の課題をやる中で自然と自分で考える力とかがついてたということ?

山田先生:自分で考える力は多分数学の勉強とかだと思うんだけど、論文の書き方とか手法は知ってたので得というか楽だった。あと、英語の授業も受験英語に特化しないっていうのが多かったのがすごい良かった。大学で受けるような教育を在校中にたくさんやってきたので。


SGH科目は超大切!でもその大切さに気付くのは大人になってから⁈
ふみか:じゃあもし先生がSGH校に通ってたらどんな学校生活を送ってたと思いますか?在校生へのアドバイスでもOKです。

山田先生:もしアドバイスをって言われたら、ぜっっったい役に立つから、絶対にやってた方が良いよっていうのは言えるかも。

ふみか:その役に立つっていうのは?

山田先生:大学生や社会人になってからも多分同じようなことがあると思うんだ。1つ1つの教科ができるとか知識があるとか以上に、どんな題材が与えられてもどんな事をしなきゃいけない場合であっても、論文を書く、そのーなんて言うかな・・

志垣先生:プロセス。

山田先生:そうそう、それってやっぱり使えると思うんだよね。あとすべてのベースになってる学習が多分SGHプログラムだと思うので、生徒にアドバイスをするんだったら何よりも一生懸命取り組んでほしい科目が、知の探究であり、リサーチとフィールドスタディであり、課題研究論文かなって僕は思う。

志垣先生:私は高校の時、調べたり本読んだりは好きだったけど、それをどう次に繋げるかっていうの一切教えてもらってないから、ほんとはそれをどういう風にまとめたりとか次に繋げていくかを教えてもらえたら、すごい良かったやろうなって思う。でもそういうのを今SGHで教えてもらえるやん?

山田先生勉強の仕方の勉強だよね。

ふみか:活用しない手はないですね!

山田先生:でもそれは教員になって働き出したら「これってやっぱり

山田先生志垣先生:大事だよー」って

山田先生:いつも思うわけでー、

志垣先生:やっぱりねぇ、ははははははっ(笑)

ふみか:でも今いる在校生にも気づいてもらいたいですね(笑)

山田先生:そう。だから先へ進んだ自分が、こう上から見ると「あっほんとに大事なことなんだな」って今は心底わかるので。だから伝わらないかもしれないけど、今の在校生には大事にしてほしい授業だなぁと思う。
写真:HFLの調理実習の様子

山田先生:数学とかその分野に進んだら何か役に立つけど、進まなかったら数学そのものをあんまり使わなかったりするもんね。

志垣先生:そうですね。

山田先生:じゃあ何が残るかって言ったら数学的な思考が残る。で今回のSGHは全てのベースになるものだからどこに行っても多分使えるから大事。

津高先生:全てのベースになるという点はHFLと共通?

山田先生:そうだね。HFLは生きるためのベースになるスキルを学びますもんね。.....(笑)

志垣先生:はははははっ(笑)

ふみか:じゃあベースとスキル、片方かしか持っていなかったら、それを活用することは出来ないということですかね?

山田先生知識がない人は考えられないし、考え方知らない人はその知識があったって応用して考えろって言われたら考えられないわけで。

ふみか:あぁー、なるほど。


グローバルリーダーって何?先生自身はどんなグローバルリーダー?
ふみか:生徒をグローバルリーダーとして育てるために先生自身はどんなグローバルリーダーでありたいと思いますか?

山田先生:じゃあグローバルリーダーの定義は何?

津高先生:SGH的に言ってるのはグローバルリーダーってそのグローバル社会に住んでるだけでもうグローバルな課題とは切っても切り離せない個人になっていると思うんです。だからそういう社会に住んでて、グローバルな課題に関して専業主婦だったり、事務総長だったり、色んな立場から行動を起こしている人をグローバルリーダーって言って、それをそれぞれが持ってるグローバルリーダーシップだという風に考えています。

志垣先生:私はやっぱり偏見がないようになりたいなとは思いますね。色んな差別とか偏見とかあるじゃないですか。それは無意識のうちにどんどん身に付けていってるんだと思うんだけど、それがなるべくないように、公平に接するようにはなりたいなと思っていますね。

ふみか:あーーぁ。なるほど。

山田先生:世界で通用する、えーでも数学って世界で通用する思考力じゃないの?まあ数学だけじゃないけど。だから数学を教えてる事で貢献してるって事なのかな?あとは微力だけど誰もいない教室の電気や暖房を消したり。1人が1人が100%頑張ってもダメなんだけど、1000人が1%頑張るだけで効果は大きいわけで。そういう意識をみんなが持てれば良いと思うけどね。


生徒にどんなグローバルリーダーになってもらいたい?
ふみか:ではどんなグローバルリーダーを育てたいですか?
写真:生徒に優しく対応する志垣先生

志垣先生:何だろ。世界に出て行ってリーダーになれる人ってそれほど多くはないと思うし、全員が全員そうなる必要はないと思うんだけど、自分の与えられた場所で自分の力を発揮して気持ちよく生きていける、そんなある意味リーダーになって欲しいかな。

山田先生:自分の意見だけを感情で物言うのではなくてデータ収集をし、分析をし、きっちりとした論理展開を持って、発言をする中で世界を良いように変えていけるようなそういう人材かな。

ふみか:ああー。なるほど。すごい数学の要素も入ってますね。

山田先生:理系に進まない子達にも考え方をしっかりと身につけて、世界に貢献するためにどんな分野へ行っても、ちゃんと理論とかデータで裏付けられた根拠を持って政策とか改革が出来る人になってくれたら嬉しいなって思います。

志垣先生:でもなんか「世界」と言うと少しかけ離れた世界とイメージするけど、身の周りも世界だから、このちっちゃな世界とかい離したリーダーになっても意味がないかなーと思う。まず自分のちっちゃな世界の繋がりを大切にしてほしいな。

山田先生:グローバルよりもソーシャルが先かもよ。

志垣先生:そうね、こう世界と、繋がってるのかって分かって欲しい気がする。


ふみか:なるほど。滅多に聞けないHFL×(かける)数学のお話はとても興味深く、面白かったです。
先生達の思い、そしてSGH授業の大切さが今回のインタビューを通してSIS生に伝わりますように。
ありがとうございました!